Synopsis
ツキミソウがまだ咲く前。
ふたりがまだ“恋”の名前さえ知らなかった頃。
冬の帰り道で、そっと芽吹いた気持ちを描いた、
"甘酸っぱくて優しいカケラだけ"を集めた物語。
彼と出逢ったあの日、
冬の空気は冷たいのに、心だけふわっと温かくなった。
初めてなのに、なんだかずるいくらい優しくて、
息がうまくできなかった。
“緊張してる?”
そう言って静かに笑う彼の声が、
雨よりも静かで優しくて、
そのたびに息が止まりそうになる。
彼と歩くスピードも、
見つめられる一瞬の静けさも、
触れそうで触れない距離も、
全部が甘酸っぱくてくすぐったい。
ツキミソウに寄り添い合うふたりを知っているからこそ言える。
——これは、その前の、もっと小さくて、もっと甘くて、
それはまるで、寒い季節にそっと色づくフユイチゴみたいに。
冷たい空気のなかに、ふたりだけの甘さが確かに実っていく。
※※※
これは、連載中の「ツキミソウ」のふたりの出逢いを描いたサイドストーリー。
「ツキミソウ」を読んだことが無くても、あの頃だけの甘酸っぱさをひと口だけ味わってみたいなら、
どうぞ“フユイチゴ”のページをそっと開いてみて。
きっと、胸の奥が少しあたたかくなるから。
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