Synopsis
秋の冷たい雨が降る土曜日。みらい銀行成増支店で立てこもり事件が発生した。 犯人はガスマスクの男、コードネーム『カッサンドラ』。元・警察公安(エリート)の彼は、SITの交渉術をすべて熟知していた。
要求は三つ。現金5億、ヘリ、そして―― 「今夜9時、TVSのニュースで俺の告発文を読め」
それは、3年前に組織(・・)が隠蔽した「罪」を裁くための、「正義」の執行だという。
交渉にあたるのは、SITのベテラン交渉人・黒田(通称:神谷)。 「理屈」ではなく「感情」で落とす泥臭い交渉術が彼の信条だ。
だが、カッサンドラは黒田の言葉を「嘘」「マニュアル」「欺瞞」と一蹴する。 「お前も組織の犬か?」「その『後悔』が本物なら、今ここで証明しろ」
共感は拒絶され、駆け引きは看破される。 言葉(ディール)が通じない相手を前に、人質9名の命のタイムリミットが迫る。
これは、「真実」に殉じようとする男と、「命」を救おうとする男の、息詰まる心理戦(ネゴシエーション)。
Serialization Info
Web Novel