Synopsis
失恋をきっかけに、長年伸ばしていた黒髪を切ることを決意した二十五歳の女性・笹原七海。
東京近郊の駅前にひっそりと佇む古い床屋「ヘアーサロン風」で、
彼女は一本の鋏と一台のバリカンによって“過去の自分”と決別していく。
最初は肩まで、次に襟足を刈り上げ、やがてスポーツ刈り、そして坊主へ。
最後に彼女が選んだのは、すべてを剃り落とすスキンヘッド――。
その床に散る黒い髪は、失恋の痛みと共に彼女の迷いや未練を象徴していた。
しかし、髪をなくした七海が手にしたのは“喪失”ではなく“解放”だった。
社会の常識や他人の視線に縛られず、
「髪のない自分」として生きることの自由と誇りを知る。
やがて彼女はその経験を語り始める。
「髪を失って、私は“私”になった」と。
講演を通じて同じように悩む人々へ希望を伝え、
そして再びあの床屋へ――感謝と再生の風が、彼女を導いていく。
髪を通して描かれる、心の成長と再生の物語。
切ること、捨てること、そして受け入れること。
七海が選んだ“スキンヘッド”という生き方は、
女性である前に「ひとりの人間」としての誇りを取り戻す旅でもあった。
Serialization Info
Web Novel