Synopsis

少しずつ飴色になっていく光を抱えていた。 空気は冷たく、吐く息がそっと形を結んで消える——そんな冬の夕方に、私は古い喫茶店の扉を押した。カランと鳴る鈴の音が、こじんまりとした店内の空気をふっと揺らした。 店は、どこか時間に追いつくことができず、まるで一昔前の雑踏に残されたようだった。棚のコーヒーカップはひとつひとつ違う表情をしていて、壁にはポスターや、黄ばんだ額縁が無造作に並び、その中央に一枚の絵が掛かっていた。 ――半分に破かれた、未完成のポートレートだった。 この物語は、私が出会った未完成のポートレートを探し続ける物語である。ゆえに、この物語には終わりはない。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou11/02/2025
  • Current半分の肖像