Synopsis
ある秋の、雨の夜。静かな古民家カフェは、もう少しで店仕舞いの時間。
店内には常連の青年と、店主の佐倉亨(さくら・とおる)だけ。
そしてカウンターには、飲みかけのコーヒーと、ひと口分残ったケーキ。
亨は密かに青年に思いを寄せていたが、勇気が出ず、これまで雑談の一つもできずにいた。
雨が止めば、
ラストオーダーが過ぎれば、
ケーキを食べ終えれば、
また何も残らないまま、彼は店を出てしまう。
そう思った亨は、咄嗟に声に出す。
「試作品、召し上がっていただけませんか」
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