Synopsis
表紙提供 田野敦司 [link:ilst_view?w=19133383]
あらすじ
サイコレプシーの父親による、虐待、保険金殺人未遂の末、解離性同一性障害を患った丸山信也。やがて成長していく中、父親の虐待から開放された彼の身に降り掛かるのは、自分に対する、もう一人の自分による虐待だった。自分の中のもう一人の自分が、自分を殺そうとする苦しみ。
誰からも裏切られ、どうせ裏切られるなら、何もかもを裏切ってやれ、と天に唾を吐きかけながら彼は青春のど真ん中を歩いてゆく。
病と孤独。彼はその苦しみから逃れるために麻薬に手を出してしまう。
逮捕、投獄を経て彼が辿り着いたのは、神仏の世界観と物理学を通して見えた心霊の世界、そして死。
「死んで仕舞おう」「もう、死んで仕舞えばいい」「死こそが、唯一の救い」
だが、そのどん底、ギリギリの命の転回点で彼が出会うのは、誰にも必要とされなかった彼を、その天使のような純粋さで必要とする、幼い娘二人と、その母親だった。
過去の罪、麻薬の依存症。精神疾患によるものなのか、人智の及ばぬこの世の不思議の所為なのか、彼は判然としない魑魅魍魎の様な存在(もの)に苦しめられ、それと闘い続ける。
人間としてすでに廃人でしかない自分を認識しながらも、全身全霊を傾けて子供を育て、生き抜こうと云う覚悟を決める彼。
彼は自分の中の自分、判然としない魑魅魍魎の正体を暴くため、刑務所の中で手慰みにしていたノートを基に、小説を書き始める。
彼を苦しめるそれは、いったい、何なのか。
内観を深めて行くその過程で綴られる文章から、次第にそれはその正体を浮き彫りにして行く。やがて朧げに見えてきた彼の中に棲むもう一人の自分。それは彼の成長と共に成長し、人格崩壊を来たした変質者。最早、人の人格とは呼べない化け物へと変わり果てていたもう一人の自分だった。
彼を苦しめる化け物。彼は終に、その化け物との対決を決心する。
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