Synopsis

小説家を夢見る高校生・天野悠人は、放課後の図書室で同級生の紗菜と出会う。 人に見せることさえためらっていた原稿を、彼女は迷いなく受け取り、まっすぐな瞳で言った。 「私、最初の読者になってもいい?」 その瞬間から、二人の時間が始まった。 紗菜は悠人の作品を読み、真剣に感想をくれる。悠人は彼女の存在に励まされ、夢を追う勇気を持つようになる。 やがて、図書館巡りや文化祭を通じて距離を縮める二人。紗菜は誰よりも近くで悠人を支え、悠人は彼女への想いを募らせていく。 しかし紗菜には、誰にも打ち明けていない秘密があった。 ――生まれつきの心臓病「拡張型心筋症」。 少しずつ悪化していく体調を隠しながら、彼女はただ悠人の夢を見届けようとしていた。 「最後まで書いて。私が最初の読者だから」 その約束を胸に悠人は執筆を続けるが、物語の完成を目前にして、紗菜は帰らぬ人となる。 涙でにじむ原稿の最後のページに、彼は一行を書き加える。 ――この物語を、彼女へ捧ぐ。 のちに若きベストセラー作家と呼ばれるようになる悠人の原点。 それは、一人の少女に贈った、一冊の物語だった。

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