Synopsis
天保五年(一八三四年)の江戸・上野車坂下の囲碁道場で、囲碁家元本因坊家の内弟子、十四歳の本因坊秀和(ほんいんぼう・しゅうわ)は門人を相手に囲碁の指導を行っていた。そこへ、石州浜田藩の家老・岡田頼母(おかだ・たのも)が秀和の師匠である名人碁所である十二世本因坊・丈和(じょうわ)を訪ねてきた。頼母は、主君で老中首座の地位にある浜田藩主・松平周防守康任(まつだいら・すおうのかみ・やすとう)が開く碁会に参加してほしいと打ち明ける。
囲碁界を牛耳る地位にある官職「碁所」である丈和は将軍指南役でもある。本来ならば、公に打つ事はできないはずだが、老中首座の家老の頼みとあっては断る事も出来ず、これを承諾する。その裏には、丈和を碁所の座から引きずり降ろす事を画策する囲碁家元井上家の当主・井上因碩(いのうえ・いんせき)の陰謀が見え隠れしていた。碁会では、井上因碩が丈和に挑むものと思われていた。秀和は頼母から、因碩の弟子で赤星因徹という強豪がいる事を知らされ、胸を躍らせる。
秀和は、頼母の連れていた用心棒風の男とひょんなことから知り合いになる。訪れた知り合いの商家で、この男と碁盤を囲む事になるが、秀和は男に軽くあしらわれてしまう。雪辱を果たそうと再戦を挑むが、完敗。そしてこの男こそが、赤星因徹である事を知る。
松平家の碁会で丈和の対戦者は、因徹であった。因徹は、「井門の秘手」と呼ばれる妙手を出して、丈和を追い込むが、丈和はこれを巧みに防ぎ、接戦となる。ところが、同じ碁界で碁を打っていた岡田頼母が突如、奉行所の捕り方に連行されてしまう。松平康任の政敵であった西ノ丸老中・水野越前守忠邦の仕業であった。碁会の裏には激しい政争と陰謀が隠されていた。康任の老中首座としての示威行動に対して、忠邦が康任の不正を掴んで追放させるために、逆に利用したのであった。丈和と因徹の対決は、数日に及んだ。だが、因徹は労咳に冒されており、血を吐いて倒れ、死んでしまう。
秀和は、病身の因徹に打たせた因碩に復讐を誓う。だが、因徹を打ち殺された因碩は、策謀を張り巡らし、丈和を碁所の座から引きずり降ろす事に成功。逆に、因碩が碁所就位願いを提出する事になる。これを阻止する為、本因坊家は秀和を刺客として送り込むのだが……。
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