Synopsis
それは生まれたときからなにひとつ、欠片も自分のためにならなくていい感情だった。
この人生がどう転んでも、明日の上空にミサイルが飛んでも、胸に飾って輝く価値や、強さのかわりに食い減らす糧、夜抱きしめて眠る言葉になどしないよう、身勝手な幸にも不幸にもさせないよう、けれどせめて寒くはないよう、小さな部屋のいちばん陽のあたる窓辺に置いた、たったそれだけの花でよかった。
そんな馬鹿げた話はきっと、誰にも知られずに生きていけると思っていた。
遠くの窓辺の花を見るまで。
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