Synopsis
世界中にダンジョンが現れてから25年、様々な能力に目覚めた「覚醒者」たちは、各地のダンジョンを攻略していた。
そんな彼らの間に、とあるうわさが流れていた。
「桜ダンジョンには、『精霊』がいる。」
ダンジョン内で迷子になった人を無言で出口まで案内したり、モンスターに殺されそうになった人を救出したり……。お礼を言おうにもすぐに姿を消してしまうその存在は、いつしか『精霊』と呼ばれるようになった。
半ば都市伝説のような形でその存在が噂される『精霊』。しかし、当の本人は……。
「── っくち。」
「ん?大丈夫?」
「大丈夫。多分誰かが噂してるんじゃないかな。」
「お兄ちゃん、よく人助けしてるしね。」
「僕がいいやつみたいに言わないでよ。僕じゃなくたって誰でもできるよ。……それに、すぐにいなくなる僕なんて、誰も気にしてないと思うし。」
「そんなことないと思うけどなぁ……。……ところでこれ、どうしたの?」
「間引きの結果。」
「にしてはかなり量あるけど?」
「……すみませんちょっとストレス発散に付き合ってもらいました。」
「やっぱり……。……こんなレベルのモンスターを倒せるなら、配信すればいいのに……。」
「やだよ。目立ちたくないし。」
「えー?そんなこと言わずにさ ──」
そう、本人としては全く目立ちたくなかったのだ。人助けをしてもすぐにいなくなるのも、その考えあってのことだった。
実力がありながらそのことを世間から隠し、ひたすら目立たないように過ごす日々。そんな彼の日常は、ダンジョン内での1つの出会いによって、変化を見せ始める。
これは、ダンジョンの神秘に囚われた少年が、どこか人とズレた判断基準のもと、無双していく物語である。
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