Synopsis
私は、「ヒコ」と呼ばれていた。
幼い頃の記憶はない。
最初の記憶は
「雨の匂いがする…」と自分が発した言葉だった。
ずっと、家の中にいて、
世話をしてくれる女たちと
私を「ヒコ」と呼ぶ「タケル」としか言葉を交わしたことはなかった。
ある時、初めて家の外に出た。
私は、高い場所に居て、
下にたくさんの人がいるようだった。
私は、目が見えない。
だが、明るさだけは、分かった。
外に出た時、明るい方を見た。
そして、それから人は私を
「日見子様」と呼ぶようになった。
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