Synopsis
内気な性格のせいで友人が少なくとも、宵乃(よいの)の日々は寂しくはなかった。それはこの世に生まれ出ることの叶わなかった姉が、自身の中にしっかりとした姿形を持って存在し、ともに仲睦まじく成長していっていたから。
そんな宵乃が高校へ入学して、クラブの新入部員勧誘会の日―――。
体質上、団体活動などには背を向けようとしていた彼女の前に、心中の姉とそっくりな女子生徒が現れた。
新聞部に所属していた三年生の彼女の名は、「暁乃(あきの)」―――それは心の中の姉とまったく同じ名前でもあった。
宵乃はほぼ無意識に、そのクラブに入部の意を伝えていた。
所属した「真実新報」という名のクラブが実は同好会であったことを知ったのは、活動初日だった。
個性豊かな先輩陣がそろっている中、唯一クラスで仲よくなった有素(ありす)も参加することとなり、宵乃の生まれてはじめての課外活動は、楽しさに包まれるものになりそうだった。
が―――。
白菊学園にはもう一つ、新聞制作を行う団体があった。それが―――「白菊タイムス」。
そのれっきとしたクラブであるタイムスに、新報の会長、夏女(なつめ)はライバル心を燃やしていた。それゆえ、彼女の熱情は、宵乃を含めたメンバーたちに驚くべき試練を課すことになり、はては、思いもよらない数々の驚愕事を新報にもたらす結果にもなった。
そんな刺激的ともいえる毎日を送っていた宵乃は、暁乃を本当の姉のように慕っていった。その感情は暁乃のほうも同様で……。
しかし、文化祭も終わり、秋の気配を色濃く感じ始めたころ、暁乃は突如、新報を退会してしまった。とともに、宵乃との間にも隙間風が流れ込み―――。
暁乃と離れ離れになりたくない! そして……本当の姉になってほしい!
その一心で、彼女との関係を修復するべく、宵乃は新報の存続をも危ぶまれるような大きな賭けに出た。
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