Synopsis
夜。私の部屋は二階の六畳間だった。
もとは納戸だった部屋で、家具もないが、妙に「人の気配」がある。誰かがまだここに住んでいるような、そんな錯覚を覚える。
寝転がったとき、不意に聞こえた。
――カラン。
押入れの中。
何かが、小さく落ちるような音。湿った木と紙の匂いが立ち込める中、私は恐る恐るふすまを開けた。
暗がりの中。
紙コップと、赤い糸。
それは、かすかに揺れていた。風もないのに、ふる、ふる……と。
その瞬間、コップの奥から、声がした。
「……やっと、見つけてくれたね」
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