Synopsis
【以下、ネタバレ】
登場人物である医学生の良真が自身の高校時代の体験を描く私小説部分と、良真の現在を描くエピローグで構成される、約1万5千字の短編小説。
高校時代、良真は陽太を中心としたクラスメイトからいじめを受けていた。いじめに苦しみクラスの「底辺」であるとの自覚があった良真は、自分よりも不幸に思える存在を見て安心するために、入院中のクラスメイト・香川百合の見舞いに行くことにした。
香川は、頭の中にできた爆弾が大きくなって、いずれは小さな衝撃により爆発して死んでしまう「爆弾病」という不治の病にかかっていた。
単に不幸な存在を見るために見舞いに来た良真であったが、香川が「爆弾病」であると知り、同じ病気で亡くなった良真自身の同名の姉・百合と重ねてしまう。かつて良真は、自身の姉であるにもかかわらず百合に想いを寄せていたのである。
そんなことを思い出していると、香川も自身の弟に対して恋愛感情を抱いていることを告白し、良真の姉への恋心も言い当ててしまう。香川は良真が弟と似ていると言い、互いの叶わぬ恋の代わりとして、2人で恋人として振る舞うことに決める。
この「恋人ごっこ」に生きる楽しみを見出した良真は自信を得、ついにいじめっ子の陽太に言い返し、いじめをやめさせることに成功する。
姉の百合の死の数日前に陽太からのいじめを告白して悲しませてしまったことへの清算ができたように感じていた良真に対し、香川は自身の頭の爆弾で陽太を殺すことを提案した。
いつの間にか「恋人ごっこ」から本当の恋人のようになっていた香川の、陽太を巻き込んだ死を経験し、良真は医者になり「爆弾病」の研究をすることを決心する。
現在医学生の良真は出版社の依頼を受け、「爆弾病」に関するこの体験を私小説として執筆している。良真はふと香川の墓を訪れ、香川と過ごしたあの日々が青春であったと振り返る。香川と良真が過ごしたあの季節が、また訪れようとしている。
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