Synopsis
あんった、本当に支えない屑ねぇ」
「えっ、し、しかし……こちらの書類はしっかりとチェックもしまして……」
「様式間違ってる。最近入った楠さんはちゃんとできるのに、なんであんたはできないの?」
「そ、それは……そのぉ……」
30も半ばに入ろうかという、バーコードハゲの中年男性がだらだらと汗をかきながら口の中でモゴモゴと釈明の声を漏らした。まるで蝿の羽音のように小さく不愉快な声だ。
「何か言いたいならはっきり喋りなさいよ。このハゲ」
先程から中年男性を罵倒している女子高生にも見える少女は、彼の上司である一橋凛ひとつばし りんである。「はぁ」と大きくため息をつくと腰にまで伸ばした長髪が艷やかに波打った。よく手入れされたその髪は、それを維持できるだけの財力と余裕がある事を示している。
「うっ、へ、へへっ、す、すいません」
一回り以上は年齢が下の少女に罵倒されていると言うのに。バーコードハゲはニヤけながら謝罪した。その憤るでもなくヘラヘラとした態度が、少女に嫌悪感を覚えさせた。
「キモッ……」
思わず口から本音が出るのも致し方なしである。
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だが! 上っ面ではヘラヘラしていてもバーコードハゲの内心もそうであるわけではない!!!
「あ”あ”あぁぁ嗚呼嗚呼あ!!!! キチガイゲェェァァーーージマァアアAAAっxXXXX!!!! ギェェヤァァァァアギュラヤァァァ11!!!!」
ど田舎にある自宅へ帰るなり、バーコードハゲが吠えた!!!!
社会で溜めたストレスやキチガイゲージが爆発するまえに大発散! 仕事終わりのサラリーマンには最早常識なぞ必要ない! 己の本能アガペーその他なんやらが命ずるままに行動あるのみ!
立ちはだかるパワハラ上司! ぐぅの音も出ない正論! 恐ろしいまでの己の無能! だが、人生に降りかかるありとあらゆる苦難なぞ、キチガイになれば関係ないのである!!
この物語は童貞・ハゲ・低年収の年齢=彼女いない歴のオッサンが織りなすハードボイルドコメディである!
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