Synopsis
~本作から抜粋~
「しっかし、けったいな体質だよな。学校の先生にはカミングアウトしねえのか?」
前を向いたまま晋也(しんや)が訊いてきた。
カミングアウト? 冗談じゃない。
「雪には周囲の音を吸収して閉じ込める力があって、俺は雪に触れることでその音を頭で聴けますってか? 鼻で笑われておしまいか、病院行けって言われるだけだろ」
~抜粋、終了~
雪の日が静かなのは、雪には結晶の隙間に音を閉じ込める吸音効果があるから。
橘澪(たちばな みお)は、小学六年生。雪が閉じ込めた音を聞くことができる。
けれど澪の頭に響くそれらの音はいつも、思わず耳を塞ぎしゃがみこんでしまうほどに煩い。
さらに一年前。澪は雪を通じて、トラウマとも言える体験をしていた。
澪にとって、雪は苦悩か。それとも幸いか。
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