Synopsis
※レギュレーションの為、このあらすじはネタバレを含みます。
田舎でジャム工場を営む温厚でお人好しな兄、壱山健一は弟の勧めで買った会社名義の株が暴落し困窮していた。
トレーダーとして生計を立てていた弟の賢治もまた歴史的な株の暴落を受け、事務所や家を手放すことになる。
両親を流行り病で立て続けに失くした健一は、鬱を患った弟とその妻子を実家に迎えることにするが、賢治の妻、夏帆は健一の初恋の相手でもあった。
奥の間に引き籠もって出てこない賢治の気配を感じながらも、健一は夏帆と姪の愛海とともに奇妙な共同生活を始めることになる。
誰からも軽んじられる健一にとって、夏帆と愛海と暮らす生活は、孤独で傷ついた心を癒やすかけがえのないものになっていく。
しかし健一のジャム工場を取り巻く環境は悪化の一途を辿っていた。
台風で倒れた木がポンプ小屋を破壊し賠償に見舞われ、債務の返済はおろか仕入れの支払いにも困り始める。
そんな中、馴染の町金に持ちかけられた債務整理は闇金に健一を売り渡す密約だった。機械の故障、金庫から消える金、やる気のない従業員、上得意先との取引停止、怪しい人影、不気味な怪奇現象と、立て続けに様々な厄が健一に降り掛かる。
それでも夏帆と愛海のいる穏やかな生活を守ろうと健一は必死に問題を解決しようとする。
徐々に本当の家族のような繋がりが生まれていく中で、健一は夏帆が弟の部屋に向かって泣き叫ぶ場面を目撃する。
優秀で要領が良く、誰からも人気の自慢の弟には、健一の知らない顔があった。
賢治は夏帆の父がそうであったようにアルコール依存で暴れること、強姦に近い形で愛海を授かった事、愛海を人質に取られ離婚も出来ないことを知り健一は驚愕する。
愛海の名は健一との思い出に由来することを、夏帆は告白する。
夏帆の中にも自分の存在が生き続けていたことを知り、健一は弟に夏帆を譲ってしまった自分の弱さを激しく後悔する。
健一は自己卑下することで夏帆に振り向いてもらおうとしていた自分の弱さを謝罪し、二人は互いの想いを確認しあい一夜を共にしてしまう。
それが切っ掛けになり、臨界が限界を迎えることになる。
臨界/限界の気配を感じた八咫衆のシラサギは、東京にある賢治の自宅を訪れる。
そこには不吉な痕跡と共に健一の写真が残っていた。
シラサギは健一が何かしらの形で事件に関わっていると睨んで、健一達のいる田舎に向かう。
健一の周りでは黒スーツの男たちが暗躍し厄は勢いを増し健一の中にも変化が起き始める。
健一は自分の優しさのせいで夏帆を失ったと錯覚する。
どす黒い感情に心が侵食された健一は工場で暴力的な行動を取るようになっていく。
しかし厄が収まる事はなく、怪奇現象は激しさを増し、健一を裏切った人間たちは次々と不審な死を遂げ始める。
そんな中、不可解なバス事故の現場にシラサギが姿を現し、現場に居合わせた林巡査に被害者の実家に自分を連れて行くように命令する。
林は訝しがったが、渋々シラサギと行動を共にすることになる。
その頃、貢いだ嬢に裏切られ、揉み合いの末に死なせてしまった勝又は海外逃亡を企てていた。
ホテルを点々としながらパスポートが出来るのを待っていたが、繁華街の裏路地で林とシラサギに遭遇する。
林は勝又に職務質問するが、隙を付かれて逃がしてしまう。
一方、健一が勾留されている間に闇金への支払期限が過ぎ、夏帆と愛海のところに闇金が取り立てにくる。
開放された健一大急ぎで家に帰るがは夏帆に起こった出来事を知り、取り乱し激昂する。
健一は工場を手放し借金を返済する決意を固めると、夏帆にそのことを伝えプロポーズする。
夏帆がそれを受け入れると、何処からともなく声が聞こえ、夏帆と愛海、弟の賢治が海水になって消えてしまう。
悲嘆に暮れた健一のもとに闇金が現れる。健一は、闇金の田代を背後から撲殺しようとするがシラサギが現れ健一を止める。
シラサギと共に健一は、夏帆を探すために賢治のせいで縺れ状態になった異空間の実家に足を踏み入れる。
シラサギ曰く、賢治はすでに自殺しており、夏帆はそれを奥の座敷に隠していたという。
縺れた境界線から、アチラガワがやって来る前に、臨界/限界を閉じる必要があるとシラサギは言う。
家の中では無数の愛海が部屋中を駆け回り、健一と夏帆の残像があちらこちらで情事にいそしんでいた
必死に賢治を探すが、シラサギにも見つけることが出来ない。
その時健一に愛海の中の一人が抱きついた。健一は愛海に夏帆のところに案内するように頼む。
案内された先では、レジンで固められたバラバラの賢治が安置され、黒スーツの三人と共に、夏帆が熱心に賢治の死体を拝んでいた。
夏帆は影法師に弱みを握られ言いなりになっていた。
シラサギは死闘の末に影法師達を退け賢治の死体に鍼を打つが臨界/限界は収まらない。
シラサギは夏帆こそが真の依代だと理解する。
しかし健一は夏帆をかばいシラサギに渡さない。
その時夏帆の口から、アチラガワが姿を現し始め、止めを刺そうとするシラサギを健一は説得する。
どんどん脅威を増すアチラガワの前でシラサギは十種の神宝の祝詞を唱え、健一を饒速日の御前に連れて行く。
神との交渉の末、夏帆と健一は夏の海での記憶とそれぞれの片腕を失い、臨界限界は収束を迎える。
健一は夏帆と入籍し作業所に就職する。
穏やかな生活を送っていたがある日愛海が描いていた絵を覗くと、そこには五体が分裂した賢治の絵が描かれていた。
終
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