Synopsis
俺は、恋をした事がないんだと思う。人を好きになるとは、友人に対する好意と何が違うのだろうか。
華束幸助は今日、何度目か分からない失恋をした。
けれど心は傷まない。幸助は恋や愛がわからない。
華の金曜日、居酒屋の帰り道で一人の青年とぶつかり、荷物を拾ってくれたお礼にと、博物館のチケットを貰った。香水の歴史展という初めて触れたジャンルに興味を示した幸助は、歩きながら一緒に貰ったパンフレットに書かれた“フランソワ・コティ”という人物を調べていた。そんな風に夜の道を歩いていたものだから、足を踏み外して穴に落ちてしまった。
どこまでも落ちる深い穴に死んだ!と思った幸助だが、落ちた先は知らない土地だった。
そこで出会った青年ジョセフは、歴史に名を残す調香師、フランソワ・コティその人だった。
匂いを嗅ぎ取る事が得意だった彼は、幸助を気に入ってこんな提案をしてきた。
「コースケ、行く当て無いんでしょ!?じゃあウチに居ていいですから!その匂い嗅がせてくれませんか!?!」
そんな言葉から、ジョセフとコースケの同居生活が始まる。
未来から来たという幸助の言葉を最も簡単に受け入れ、助けてくれたジョセフ。幸助は次第に好感を覚え惹かれていく。
ジョセフもまた、最初の興味から恋へと変わる自分の想いを実感していく。
しかし、同性の恋愛は禁じられた国で、この想いを幸助に話しては迷惑がかかると胸に秘めていた。
うまく、“恋愛術を教える”や“匂いを嗅がせる”という最初の条件を使い、抑え切れない感情を発散する。
幸助は、自分の、“好きな気持ち”には気づかず“約束”なのだとそれを受け入れる。穏やかな生活に重ならない想い。
しかし幸助がジョセフの気持ちに気付いた時、自分の想いにも向き合う決心をした。
自分が持てる精一杯の言葉を彼に送ろうと決心し、一人で細工師の店に行き、言葉を刻んだブローチを贈り物として手配した。ジョセフの元に戻ろうとした時、また足元が崩れて現実世界に戻ってしまう。
離れ離れになって初めてジョセフが好きだった事を思い知らされる。同時にジョセフはもうこの世にいない事に涙を流す幸助は、コティとの唯一の繋がりである香水展のチケットを持って博物館に向かった。
幸助が大好きなジョセフと、気づかない間にジョセフに惹かれていく幸助の初恋物語。BLです。コティの過去からのラブレター。
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