Synopsis
【あらすじ】
『半魂とは、魂の半分を怨念に冒された悲しい血族のこと』
相模湾に面して弧を描いた地形の鎌倉は、丘陵に奥深く入り込んだ谷戸(やと)が多く、鎌倉時代から有名な城塞都市でもある。
この地で連綿と血脈をつないできた九暁家は、呪術を主とする巫女の家柄。源実朝を暗殺した公暁を母方の祖先に怨念の世界に生きてきた。
九暁家の当主、九暁辻湖は巫女さまと呼ばれ、政財界の重鎮にツテも多い。それは闇の呪術を使う巫女としての名声のためだ。多くの人は祝福ではなく、呪いを求めて辻湖の元を訪れる。
九暁家の歴史は古く、老齢になった辻湖には血族を存続する義務を持つが、後継者がいなかった。
九暁家が長年つづけてきた近親相姦による弊害である。
その日、辻湖は冷凍保存した卵子で体外受精をした代理母(養女)の出産を待っていた。
鎌倉の谷戸深くにある九暁家の別宅で、彭爺(ほうじい)と宜綺(むべき)は巫女を産むための代理母の世話をしていた。彼らには戸籍がなく住民票もない。幽霊のような存在として、廃家と思われている別宅の管理をしている。
そして、出産が終わった日、別宅が全焼した。
そこには、三体の焼死体が残された。九暁宗十郎と、そのボディーガード兼運転手、産婦人科医の三遺体が発見される。
死因は不明。
当初は焼死に思われたが、検視解剖の結果、火事の前に三人とも死亡していたことがわかる。殺人の証拠はないが、不自然な点が多かった。
鎌倉警察署の刑事課に所属する加瀬和夫巡査長は、神奈川県警に所属する三賀有吏警視に呼ばれ、出向して、三賀とともに九暁家の調査をはじめた。
三賀有吏は『はずれキャリア』とあだ名される変わり者だが優秀な人物である。
実は三賀有吏と九暁家の関係は深い。
彼の両親は弁護士で、九暁家に住む戸籍のない子供を保護した慈善活動家でもあった。しかし、三賀が高校生の頃、不審な自動車事故で両親は亡くなる。飲酒運転による事故だというが、三賀の父は酒を飲んでハンドルを握るような人間ではなかった。しかし、他殺の証拠は全くなかった。
その日から、三賀の孤独な戦いがはじまった。
三賀が神奈川県警に加瀬を呼んだ理由は、加瀬自身の出生の秘密にある。
彼は九暁の血族であり、戸籍のない子どものひとり。三賀の両親が九暁家から救い、知り合いの養子にした。血族である彼は『見える』人間だった。加瀬は隠していたが、子ども時代から霊感が非常に強かった。
加瀬は三賀から紹介された検視官と出会う。彼は友人と紹介されたが、ふたりの関係にそれ以上のものを感じた。
この物語は、『呪』への復讐に、命をかけて挑んだ男のホラーミステリー作品です。
【『横溝正史ミステリ&ホラー大賞』応募作。この先のあらすじは盛大なネタバレになりますので、続きは最終話を書いてから掲載します。ご容赦くださいませ】
-----------------------
※本作品は完全なフィクションです。実在の人物・場所・団体・事件とは一切関係ありません。
Serialization Info
Web Novel