Synopsis
僕の通っていた小学校では、五年生の体育で習う「逆上がり」と「木登り」が必修だった。そして僕は、その両方できなかったと記憶している。
男子生徒が多い学年だったことが災いした。男子の多くは野球やサッカーなどのスポーツクラブに通っていた。だからといって逆上がりや木登りができる理由にはならないが、運動神経はある程度鍛えられている。クラスに数名いる女生徒にいたっても、勝気な子がほとんどで、僕のように教室の隅で読書に耽る男子は下に見られた。
これは僕の考えが至らない(弱くもある)ところであるけれど、それで他者を憎んだり、憎しみや苛立ちを覚えることはなかった。
ただ、他者と同じ景色を共有できないという刷り込みが、体育の授業がある度に行われた。なかでも木登りは(鉄棒以上に)、そういった僕の寂しさの象徴となった。
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