Synopsis

「どういうことだい……? もう、ここには来られないって」 おれは彼女に手を伸ばした。しかし、おれたちの間にあるコーヒーカップに指が当たり、ガチャッと音を立て、彼女が身を強張らせた。 「あ、ああ、この店が嫌なんだね? 確かに、最近汚くなったなぁ。いや、ははは、毎日来ているとわからないものだね。匂いもあれかな、ははは……」 おれは自分の声が震えていることに気づき、情けない気持ちになった。 「ごめんなさい……」 「あ、こうしよう。次からはエレベーターの前で会うんだ。そうすれば君も――」 「ごめんなさい……やっぱり、あなたとは……ごめんなさいっ」 彼女はそう言うと同時に席を立った。 「なあ、待っ――」 「ははははははっ!」 「……おい」 おれは隣の席との間にある仕切りに腕を乗せ、友人の松田を睨んだ。 松田はコーヒーカップに口をつけながら、おれを見上げた。額に皺が寄り、眉が上がったそのいやらしい顔が腹立たしい。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou06/19/2024
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