Synopsis
ある朝。洗面台で顔を洗い終えたおれは驚いた。耳たぶがやや膨れ、少し伸びていたのだ。
膿でも溜まっているのだろうかと思ったが引っ張っても痛みはない。おまけに両耳だ。二次性徴なんて年齢でもない、名実ともにおっさんなのにどういうことなのかと鏡の前で首を傾げたが、おれはおっさんのそれらしく鈍感さを発揮し、ひとまず気にしないことにした。
だが、周りは違った。時間の経過とともにおれの耳たぶはどんどん伸びていき、またどういうわけか周りの人々の態度が柔らかくなっていったのだ。
おれは自分でも言いたくないが、まあ顔が良いほうではない。だが、耳たぶが伸びたことによりバランスが取れ、黄金比に近づいたのかわからないが、とにかく同僚や上司、さらには営業先の人々からも可愛がられるようになった。
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