Synopsis

あの日、星条旗のはためく合衆国の片隅で、私の父は自殺した。  合衆国の敵から国家を守るため、無人機爆撃を実行し続けた父。  その父を苦しめたのは、この国が長年続けてきた歪な戦争の形だった。  ビンカーという学者がいうには、人間は自らのうちにある暴力的な性質を意図的に封じ込めてきた。他者にやさしくするために、自らの心のうちに巣食う野蛮を封じ込めてきた。  私達の心は、戦争の野蛮さに耐えきれなくなっている。軍人さえ、洗脳のような教練を重ねて、心を薬でマスキングしてもなお、心の傷に圧し潰される。  それなら。  それなら、人間よりも機械や、動物の方が――ずっと戦争に向いている筈だ。  だから私は思考する機械を作る。自ら敵を殺傷判断できる人工知能を作る。  この世界から、父のように苦しむ人をなくすために。

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Kakuyomu
Kakuyomu02/09/2021
  • Current環の外で―Without The Loop―