Synopsis
「わざわざ呼び出してすまないな。君に話があるんだよ」
どこか嬉しそうな表情でそう言葉を発するのは、魔獣フォルテークスの主であるジーク。そして今彼に呼び出された人物が、彼の婚約者であるマリサだ。
「話、ですか?」
陽気な彼の表情を見れば、普通に考えれば二人にとって何か明るい知らせなのだろう。しかしどこかそうではなさそうだという気配を、マリサはすでに感じ取っていた。そしてその予感は現実のものとなる。
「君との婚約関係は終わりにすることにしたよ。なんでも、男爵家のご令嬢であるセレスティ様がこの私をものすごく気に入っているそうなんだ。いやいや、私も自分に自信があったとはいえ、ついに大貴族家のご令嬢に好かれてしまうほどになってしまったという事だ。すごい事だとは思わないか?」
どこまでもその調子を崩さないジークに、もはや達観したような目で見つめ返すマリサ。
「それはすごいですね、おめでとうございます。しかし、フォルテークスはどうされるのですか?あの魔獣が満足できるだけのエネルギーを生み出すのは、私の魔法を用いないと無理だと思いますが、婚約破棄の条件に私の追放が入っているのでしょう?」
もとよりジークの婚約の狙いはそれだった。もともと彼が使役していたフォルテークスをうまくコントロールできる術師がマリサしかおらず、彼はその能力目当てにこの婚約関係を押し切った。しかしその関係が無くなってしまえば、彼は魔獣を手放すことになるが…
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