Synopsis

日々はただ続いていく。けれど、私は怖いのだ。 一歩前へ踏み出すことが。 波音が胸を満たす。 何かが始まるわけでも、終わるわけでもない、ただこの儚い瞬間だけがそこにある。 掬えば零れ落ちてしまう潮水のように、想いは形を持たず、溢れては消えていく。 消えてしまうと、手のひらには何も残らない。 「好き」――この言葉もまた、やがて波にさらわれて、砂に混じる青の泡沫となり消えてしまうのだろうか。 それでも、私は願うのだ。 今だけは。肌の内側まで染み入る、指先が覚えた海の青の冷たさに浸り続けていたい。 たとえそれが、いつか醒める夢のように脆いひとときであったとしても。

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Kakuyomu
Kakuyomu06/13/2022
  • Current籠中少女の恋色は青